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社会保険労務士個人情報保護事務所

Column
経営の知恵袋− 七転八起 −

2018.06.18

自社に合った有給休暇とは?

就業規則

パソコンやスマホでちょっと検索すれば、どんな情報でも簡単に入手できる時代です。そんな昨今では、従業員の職場での権利意識が高まっていると思います。
従業員が職場に関心を持ってくれるのは良いことだと思いますが、一方、経営者さんの権利についてはあまり知られていないのではないでしょうか。

有給休暇取得の義務化なども昨今耳にされることの一つだと思います。今回は、従業員にとって関心の高いこの「有給」について、会社側の知っておくべきことをお伝えします。

会社にとって有給とは

有給の「時季変更権」は会社の権利として知られていますが、当日のお休みを必ず有給扱いにしなければならないのか、ということについてはどうですか?
または、従業員さんの有給取得率があがると業務量が減り売り上げが減ってしまうのではないか、という心配はありませんか?

厚生労働省から出されているパンフレットには「休暇の促進は企業全体に様々な効果をもたらします。」ということが書かれています。
実際には、一人の従業員が休暇を取得するためにはその従業員の業務を誰かが引き継がなければならない等、大変に感じてしまいがちです。有給取得の会社側のメリットとはどのような事があるのでしょうか。

有給取得・会社のメリットは?

☑業務を円滑に引き継ぐためには、業務の内容、進め方などに関する棚卸しを行う必要があり、その過程で業務の非効率な部分をチェックすることができる

☑代替業務をこなすために従業員の多能化促進の機会になる

☑交代要員が代替業務をこなすことができるがどうかの能力測定の機会になる

☑交代要員への権限委譲の契機となり、従業員の育成につながる

☑休暇の有効活用により、休暇取得者のキャリアアップを図ることができる

有給休暇取得は上記のような効果を生み出し、会社は従業員の有給取得を業務効率化に結びつけることが可能です。
従業員の有給取得率がUPするよう業務改善を図った結果、離職率が下がり業績があがった、という会社さんもあるそうですよ。

有給の取り方、ルールは大丈夫?

では、どんな風に有給を活用してもらうと良いでしょう。有給を使ってもらうことで本人と会社の双方にメリットがありそうですが、使い方を間違ってしまうと、休んでもらったのは良いが会社はその間大変だった、となってしまいます。それでは、業務の効率化は図れません。

「就業規則に明記すること」で、会社と従業員双方にとって正しくwin-winな使い方ができるのではないでしょうか。

有給は、従業員が請求する時季に与えられるものです。ただし、経営者は事業の正常な運営を妨げる場合には他の時季に変更することができる、というのが先ほど少し触れた『時期変更権』です。

また、どのくらい前に申請すれば他の従業員が困らないのか等は会社によって様々ですし、半日での有給取得・時間単位での有給取得あるいは計画的付与など、ひとことに有給と言っても様々です。

それらが就業規則に明記されていれば、例えば「もっと前に言わないと無理だよ、そこは業務が忙しい時期だからね」といった話もしやすくなります。

経営をスポーツに例えるのは不謹慎かもしれませんが、何かのスポーツをするのに、ルールが決まっているからこそスポーツそのものに専念できるのと同じで、ルールがはっきりしていて何をどうすればいいのか分かるというのは、会社や従業員にとって決して縛りではなく、働きやすさにつながるものです。

気持ちよく休んでリフレッシュできたら社風もよくなること間違いなしです。また、ルールが明記されていること自体が誤解を生まない社風づくりにもつながります。

「自社に合った」有給取得の仕方が就業規則に明記されているでしょうか。どきっとしたら、見直してみませんか。