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Column
経営の知恵袋− 七転八起 −

2022.02.09

2022年度厚労省予算案から 掴む助成金の傾向と対策

働き方改革パック, 助成金, 就業規則

厚生労働省予算案から、来年度に予定されている助成金が予測できます。2022年度の予算案として挙がっている注目の内容を紹介します。

1.雇用維持

雇用の維持・在籍型出向の取組への支援として、補正予算案1兆854億円が計上されています。雇用調整助成金、産業雇用安定助成金等による「雇用維持の取組」への支援が引き続くことが予想されます。ただし、雇用調整助成金等は段階的に縮小していく傾向があり、雇用維持のための助成金は業種や業績を絞ったものになっていくでしょう。

 

2.労働移動・人材育成等

また、「人への投資」の強化として補正予算案1,024億円が計上されています。雇用流動化のための訓練や、デジタルなど成長分野を支える人材育成について助成金が見込まれます。

 

特にIT分野の新たなスキルの習得に向けた職業訓練や、雇用と福祉の連携による離職者への介護・障害福祉分野への就職支援(つまり、離職者を人材不足の業種に移動させる取組)は注目でしょう。来年度以降の業態転換のためのIT研修などが検討できます。

 

また、雇用流動化の流れを受けて、ジョブ・カードの活用等を通じたキャリアコンサルティングの普及促進等に予算案21億円が計上されています。引き続きジョブ・カードを活用した人材開発支援助成金などの訓練助成金が期待できます。

 

3.男性の育児休業取得等の促進

男性が育児休業を取得しやすい環境の整備に向けた企業の取組支援や、不妊治療と仕事の両立支援などに補正予算案55億円が計上されています。男性育児休業取得は徐々に社会的課題として認知されつつあり、労働者から男性育児休業取得の申し出も増えてくるでしょう。会社として助成金を見越した育児休業支援を検討しましょう。

4.テレワークやWLB

柔軟な働き方がしやすい環境整備、安全で健康に働くことができる職場づくりのための補正予算案1,730億円が計上されています。

 

テレワーク導入・定着支援や、ワークライフバランスを促進する休暇制度・就業形態の導入支援のほか、時間外労働削減や年次有給休暇取得促進、労働時間の適正管理等に取り組む中小企業に対しての助成金支援などが予想できます。

 

助成金で費用の一部を賄いながら、労働時間削減やテレワーク化を進めていくことを検討してはいかがでしょうか。

 

5.高齢者就労支援

高齢者の就労・社会参加の促進のための予算案275億円が計上されています。2021年度に引き続き、70歳までの就業機会確保等に向けた環境整備や高年齢労働者の処遇改善を行う企業への助成金が期待できるでしょう。

 

6.最低賃金引き上げ

最低賃金・賃金の引き上げに向けた生産性向上等の推進や、同一労働同一賃金など雇用形態に関わらない公正な待遇の確保のために補正予算案394億円が計上されています。

 

賃上げしやすい環境を整備するための最低賃金・賃金の引き上げに向けた生産性向上に取り組む中小企業・小規模事業者への助成金による支援や、非正規雇用労働者の正社員化・処遇改善を行う企業への支援が謳われています。キャリアアップ助成金の正社員化コースが継続するかが注目です。

 

働き方改革や助成金の申請でお困りのときは、お気軽にアイアールまでご相談ください。