2021.03.04
従業員シェアリングという考え方
個別経営塾, 相談顧問
新型コロナウイルス感染症により大規模な雇用調整が続く中、人余りの企業と人不足の企業を結びつけ、時限的出向により労働力を提供する「従業員シェアリング」という考え方が注目されています。
「従業員シェアリング」とは
昨年の緊急事態宣言の際、航空会社から医療業などへの出向や、居酒屋チェーンから食品スーパーへの出向などが行われました。このように「人余りの企業」と「人不足の企業」の間で時限的に社員を出向させることを「従業員シェアリング」といい、コロナ禍で注目を集めています。
法的な関係
従業員シェアリングの法的関係は「在籍出向契約」であることが多いでしょう。この場合、出向元企業との雇用関係を維持したままで、社員に出向先企業で働いてもらうことになります。似たような関係として「労働者派遣契約」がありますが、労働者派遣契約は派遣元とのみ雇用契約がある点で異なります。
賃金負担
在籍出向契約の場合の賃金負担については、法律的に定めがありませんので、企業間で話し合って決めます。先の緊急事態宣言時には、出向先企業に賃金負担をさせず、全額出向元負担とした企業もあったようです。逆に全額出向先が負担しても、両社がともに賃金負担をしても構いません。なお、出向元企業が賃金を一部又は全部負担している場合、「雇用維持のための出向」として雇用調整助成金の対象となります。
出向元企業、出向先企業、労働者ともに救われる優れた仕組みのように見えますが、もちろん現実的にはいくつかの大きな課題があります。
逆に従業員シェアリングが機能する場面を想像すると、「利害や損得を超えたコミュニティーの中のシェアリング」なのかもしれません。「竹馬の友」である経営者同士であれば従業員シェアリングによる助け合いがうまくいきそうです。
従業員シェアリングの検討その他、雇用契約等でお困りの際は、アイアールにご相談ください。