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Column
経営の知恵袋− 七転八起 −

2022.06.15

定期健康診断の アフターフォローについて

労務顧問, 相談顧問

法律で実施が義務付けられている定期健康診断について、実施後のフォローをどのようにすれば良いかを解説します。

 

はじめに

事業者は、労働安全衛生法第66条に基づき、労働者に対して毎年医師による健康診断を実施しなければなりませんが、健康診断実施後のフォローができていないケースが多いでしょう。以下、法律上定められている「健康診断実施後のフォロー」について解説します。

 

 

フォローの種類

労働安全衛生法により定められている実施後のフォローは以下の通りです。

 

1.健康診断の結果の記録

健康診断の結果は、健康診断個人票を作成し会社で保存しておかなくてはなりません。一般健康診断の場合5年の保管義務があります。

 

2.健康診断の結果についての医師等からの意見聴取

健康診断の結果に基づき、健康診断の項目に異常の所見のある労働者がいた場合、労働者の健康を保持するために必要な措置について、医師等の意見を聞かなければなりません。この医師とは、各労働者が受診した医師とは別の「産業医」等を指します。これは、臨床医(健康診断実施をした医師)が判定する「A〜D判定」などの診断区分は日常生活における健康上の課題を評価しただけであり、「働く上で問題があるか」を判断するのは(その会社の就業環境に詳しい)産業医等であるべき、という考え方に基づいています。産業医がいない会社については地域産業保健センターなどの相談先があります。

 

3. 就業上の措置

2の医師等の意見を参考にして必要があると判断したときは、下記の表にある就業区分に応じて「作業の転換」、「労働時間の短縮」「休業」等の適切な措置を会社は講じなければなりません。例えば高血圧の場合、脳血管障害のリスクが高いため労働時間制限をしたり、てんかん発作の恐れがある場合運転業務から事務職に変えたりといった措置を検討します。

 

 
就業区分 内容
通常勤務 通常の勤務で良い
就業制限 労働時間(時間外労働)の短縮、出張制限、作業転換、就業場所変更、深夜業務減少、昼間勤務への転換等
要休業 休暇、休職など一定期間勤務させない

 

4.保健指導と二次健康診断

健康診断の結果、「要観察」や「再検査」などの診断をされた労働者について、前述の就業上の措置の他に、医師や保健師による保健指導を行うよう努めなければなりません。また、脳疾患や心臓疾患がある場合二次健康診断(労災保険)の受診ができます。健康診断の結果異常が認められた労働者に対してこれらの保健指導等を促し、会社として健康悪化予防に努めましょう。

 

5.その他

健康診断結果は、労働者に通知する他、常時50人以上の労働者を使用する事業者については健康診断の結果を所轄労働基準監督署長へ報告しなければなりません。

 

フォロー不足のリスク

これらのフォロー不足の結果事故や傷病悪化になった場合、会社が安全配慮義務違反を問われるリスクがあります。健康管理を個人任せにしすぎず、会社として積極的に健康診断後のフォローをしていきましょう。

 

弊社では労務に関すること、その他会社で起こる様々なことについて相談を受け付けています。

どこに聞いていいかわからない、そんなときはぜひアイアールまでご相談ください。