2022.09.08
2022年最低賃金について
給与計算, 賃金規程
最低賃金が昨年同様に大幅アップする見込みとなりました。内容を解説するとともに、今後の労務への影響について解説します。
最低賃金はどのように決まるか
最低賃金は労働者の生計費や事業者の支払い能力などを考慮の上「中央最低賃金審議会」が引き上げ額の目安を発表し、それを踏まえて都道府県の労働局長が決定します。今年は8月2日に中央最低賃金審議会から目安が発表されました。
コロナ禍での大幅アップの理由
コロナ禍や物価上昇の影響により、経営が厳しい事業者もある中でなぜ最低賃金が大幅に上がるのでしょうか。主な理由として、最低賃金が景気改善のための重要な経済施策の一つであると考えられていることが挙げられます。
物価上昇に対する低賃金労働者の保護という名目以外に、消費を促して日本経済全体を活性化させたいという目的もあるでしょう。今回の中央最低賃金審議会の資料においても、コロナ禍の影響を受けた飲食業や、物価上昇をサービス価格に転嫁できない企業の厳しさに言及しつつも、「賃金水準が上昇していること」「消費者物価指数が上昇していること」などを根拠に大幅アップになったという説明がなされています。
なお、欧米先進諸国と比べると日本の最低賃金は低く、政府が掲げる「最低賃金全国平均1,000円以上」に向けて、今後も最低賃金上昇の傾向は続くという見方が一般的となっています。
2022年最低賃金の目安
各都道府県の引上げ額の目安については、地域別有効求人倍率などを考慮の上、都道府県ごとにランクを定めて目安が示されていますが、いずれのランクも「30円以上のアップ」とされています。
今後は、各地方最低賃金審議会で調査審議の上、各都道府県労働局長が地域別最低賃金額を決定することになりますが、おそらく多くの都道府県でこのまま中央最低賃金審議会の答申に沿って決定されるでしょう。
最低賃金と月給
最低賃金は時給で示されるため、月給制の場合は以下の手順で時給に換算して最低賃金チェックをします。
① 最低賃金計算から除外する手当※を月給から除く
※家族手当、通勤手当、住宅手当、臨時手当など
② ①を1箇月平均所定労働時間で割る
③ 地域別最低賃金と比較する
東京の場合の月給額
東京の最低賃金が1,072円になった場合、1ヶ月平均所定労働時間が170時間ならば1,072円×170時間=182,240円が月給の最低ラインとなります。
基本給180,000円+固定残業手当20,000円(約15時間相当)という給与の方の場合は基本給を2,240円上昇させるだけでなく、固定残業手当も基本給に連動して250円程増加させなければならなくなります。
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